雑音の発生タイミングと対策
アナログからディジタルへの変換プロセスでは、雑音が発生する場合があります。雑音が発生すると、変換後のディジタル信号から元のアナログ信号を復元する場合に、完全な形での復元ができなくなります。
発生個所 | 名称 | 雑音 | 対策 |
標本化時 | 折り返し雑音(エイリアシング) | 復号で本来存在しないはずの周波数帯域に信号が現れる | 2倍より高い周波数でサンプリングする。(fs>2f)もしくはフィルターで入力信号の周波数を制限する |
量子化時 | 量子化雑音(量子化誤差) | 信号が量子化の解像度(ビット数)に丸められる | 量子化ビット数を増やす(データ量が増える) |
折り返し雑音の例
標本化時のサンプリング周波数がナイキスト周波数より低い時、折り返し雑音が発生します。標本化対象のアナログ信号についてスペクトル解析を行うと、図1のようになったとします。
図1から、この信号は50Hzより高いの周波数成分を含んでいないことがわかります。この信号を、2つのサンプリング周波数100Hzと50Hzで標本化を行うとします。この時、
- サンプリング数100Hzのナイキスト周波数は50Hz
- サンプリング数50Hzのナイキスト周波数は25Hz
です。
サンプリング(標本化)、量子化、符号化を行ってディジタル信号に変換後、その信号を復号してアナログ信号を復元したとします。
図2がサンプリング数100Hzの場合の復元信号のスペクトル解析、図3がサンプリング数50Hzの場合の復元信号のスペクトル解析です。
図2は元のアナログ信号が忠実に復元されています。図3は、本来35Hz付近の周波数がナイキスト周波数で折り返されて15Hz付近に出現しています。