論理回路は0と1の2値で動作しますが、どちらの値に注目するかで論理回路の構成が変わります。例として、「2つの入力信号が同じ値になったとき、出力信号としてその値を出力する」論理回路を考えます。この機能を実現する論理回路としてまず思いつくのは、2入力ANDゲートです(図1)。2入力ANDゲートは、タイミングチャート図2のように、すべての入力端子の値が1になったとき、出力端子の値が1になります。
「2つの入力信号が同じ値になったとき、出力信号としてその値を出力する」もう一つの論理回路が図3です。図3は、2入力ANDゲートのすべての入出力端子にNOTゲートが接続された「2つの入力信号が0になったとき、出力信号として0を出力する」論理回路です(図4)。
このように、「2つの入力信号が同じ値になったとき、出力信号としてその値を出力する」論理回路は、注目する値を1と考えるか、それとも0と考えるかで実現する手段が変わります。注目する値を1と考えるとき、その回路は正論理(アクティブ・ハイ)の回路と呼ばれます。注目する値を0と考えるとき、その回路は負論理(アクティブ・ロー)の回路と呼ばれます。負論理のANDゲート(図3)は、その真理値表(表1)からわかるように、2入力ORゲートと同じ機能を持ちます(図5)。論理回路設計で真理値表(表1)で示されるような回路が必要になった時、その論理回路を負論理として考えるときは負論理のANDゲートを回路図や論理式で使用し、正論理で考えるときはORゲートを回路図や論理式で使用します。
A | B | Z |
---|---|---|
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 1 |
1 | 0 | 1 |
1 | 1 | 1 |
もう一つの例として、「2つの入力信号の内、少なくとも一方がある値になったとき、出力信号としてその値を出力する」論理回路を考えます。正論理で考えると、この論理回路は2入力のORゲートで実現できます(図6)。2入力ORゲートは、タイミングチャート図7のように、少なくともどちらか一方の入力端子の値が1になったとき、出力端子の値が1になります。
負論理で考えると、「2つの入力信号の内、少なくとも一方がある値になったとき、出力信号としてその値を出力する」論理回路は負論理のORゲートで実現できます(図8)。図8は、2入力ORゲートのすべての入出力端子にNOTゲートが接続された回路で、「2つの入力信号の内、少なくとも一方が0になったとき、出力信号として0を出力する」論理回路です(図9)。
負論理のORゲート(図8)は、その真理値表(表2)からわかるように、2入力ANDゲートと同じ機能を持ちます(図10)。
A | B | Z |
---|---|---|
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 0 |
1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 |